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Marivin マービン

  • 2012/05/13 22:07
  • Category: 作品
marvin


バイクを降りる前に男はヘルメットを取り、それをハンドルにかけた。

それはエナメルブラックに塗られた古いバイクで、色とりどりの箱が積まれた自転車の
タイヤを付けたトレーラーと連結されていた。

学校に近づいてきた男は裂けそうなほどの大きな口をしていた。
微笑むとその不均一でそれぞればらばらな動きをするカーブした口の端を楽しむのに時間がかかった。


私はアニータが質問に答え、クラスメートが彼女をほっておくのに午前中いっぱいかかった。

私は教鞭をとって42年になる。
その日の午後はすでに3年たっていたところであるが、田舎での相違感は悪くなっていることを感じていた。

小麦畑の野良犬は振り返ってそちらを見ていた。


かわいそうなアニータは村で一番困難な状況であった。
車で来る子や馬、馬車で学校に来る子もいた。
車で来る子以外は皆スープのために来ていた。


料理人はアニータの母だった。
野菜や肉をみじん切りにし鍋に入れた。
どの子の皿にも同じ量で同じ具と色になるように酸っぱいいスープを給仕してくれた。
それはレンズマメのスープとほとんど違いはなかった。
アニータのママは太っちょで頑固にもいつもサンダル履きだった。


いつも自分の娘をまるで他人ごとのように話した。

「もうまったく人の話に耳を貸さない子なんだよ。」スープを配りながらしゃべった。
「こんなんじゃどこでも雇っちゃくれないよ。」


その日は特に男の子たちがやけにアニータをからかった。


私は一人を教室の外に行かせざるを得なかった。
それは冬だった。
窓の外を見やると、ガストンは寒さで震えていた。


そこにバイクの男が近づいてきた。
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グスタボスケッチ

  • 2012/04/15 17:44
  • Category: 作品
Los Mios


しばらくぶりのブログ更新。

グスタボの最近のブログからのスケッチから抜粋。

タイトル「Los Mios」

建築家らしいスケッチです。

アルゼンチン風景

5月のブログから拝借してグスタボが描いたスケッチを掲載します。

oyola_y_burel.jpg
mardel.jpg
el+camarC3B3grafo+pelado.jpg

作品紹介”La Otra Playa"『他の海岸』

tapita lop

 アントニオとマルタは友達夫婦と集まり、見知らぬカップルの旅行スライドを見た。
だが他人の人生を生きてみても自分たちの不快感はおさまることはなかった。
アントニオはもう妻に愛情を感じていなかったし、ほぼ全てにおいて別世界の存在のように
感じていた。
 彼の唯一の興味は写真を撮ることである。そして精神的な疲れからカメラを持って町をでた。
そこである若い女性に興味を抱き、執拗に彼女の写真を撮った。
彼女は彼の妄想となり、海の家での生活が、ホラー小説作家とその死の謎が鍵となる。
エンターテイメント性に富み、優しさやサスペンス、ギャグの要素が詰まった
他の海岸は作家の代表的作品である。そこでは記憶の罠を表し、家族と愛との絆を
深めることが重要な鍵となっている。

作品紹介"El amor enfermo"『病人の愛』

  • 2011/06/19 23:13
  • Category: 作品
amor enfermo

「愛は病気?それとも全ての悪の薬だろうか?」「誰かを愛した後に再び誰か別の人を愛せるだろうか?」
学んだことを確かめるのに新たしい愛が必要な男達もいるだろう。
サラヴィアは聞いて学ぶのに新たな愛を必要としている。
「もうあなたと一緒にいたくないわ!」電話でシルヴィアから告げられた。
それからというものサラヴィアは聴覚と他の女性と関係する能力を失った・・・。
だがあらゆる女性は彼を守ろうとしているようであった。
彼のアパートの管理人、セレステ。スーパーのレジ係り、エバ。ロペス医師の
秘書、クリスティーナ。
心と聴覚に傷を負い、痛みと孤独から逃れる為、多難な道のりを歩み始める。
医者と看護婦達の住む地獄にたどり着き、予期せぬ啓示に遭遇し、謎を解明かす
為、闇の世界からの帰還を試みる。
「女たちは何が望みだ?」ニールセンは堕落とエロチズム、ユーモアそして優しさを
調合し、マックエウィン、イルヴィング、プイグそしてススキンドを髣髴させる淡々と
したスタイルで、科学原理や詩の魔力、植物療法、音楽そして料理に反対する男を描いて
いく。
アルゼンチン文学におけるエポックメイキング的存在の小説であり、幸せについての心
揺さぶる歴史と愛の壊れやすい力を感じられる作品である。

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